日本にキリスト教がもたされ繁栄したのは16世紀の後半から17世紀。その後、江戸幕府による禁教政策により2世紀以上に渡ってキリシタンは迫害や弾圧を受けることになました。しかし、そのような禁教政策下で長崎と天草地方では独自の文化・伝統が形成され、その歴史は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として2018年に世界文化遺産登録されています。
今日はそのような歴史を刻んだ地域の一つである崎津集落を訪れ、潜伏キリシタンについて学ぶことにしました。
崎津集落 〜 潜伏キリシタンの歴史 〜
「RVパークれいほく富岡海域公園」で迎えた朝です。
昨夜は風が強かったなぁ。トレーラーが走っているかのように揺れて怖いくらいでした。
今朝もまだまだ吹き付けてはいるけれど、昨夜よりはマシになった感じ。
今日の天気は回復傾向にあるみたいなので、この先に期待です。
さて、朝食をササッと済ませて出発。海沿いを走り、天草諸島の「さらに奥」を目指します。
トレーラーはRVパークにてお留守番してもらいました。そう、RVパークを利用した目的はそれでもあったんです。この先は道が険しくなるようだったので、できれば「頭」だけで行った方が安心だな、と思いまして。
そして、デリカを走らせること45分。崎津集落に到着です。
まだ早い時間なので観光客はほとんど見当たらず、静かな町並みを歩きながら観光をスタートさせることが出来ました。
おっ!青空が見えてきたぞっ!
昔ながらの家屋に挟まれた、石畳の道を歩いていきます。
この道は崎津諏訪神社と崎津教会を結ぶ、いわるゆ崎津のメインストリート。江戸時代の後半に作られた絵図と比べても、現在の崎津の土地利用はほとんど変化していないそうです。
こちらが島津教会。崎津の町のシンボルとなっている教会です。
朝のミサは終わっている時間だったので、教会の中を見学させていただくことが出来ました。しかし、写真撮影は禁止なので、画像はありません…。
こちらの建物、コンクリート造り計画で建築が初められたのの、資金不足により途中から木造に変更されたんだとか。なので、正面の灰色の部分はコンクリート製、後ろ半分の白い部分は木造になっているそうです。
そして、堂内は建築当初から日本の生活様式が取り入れられており畳が敷かれ、儒徒たちは床に座ってミサを行っていたのだとか。西洋と日本の文化が入り交じった、とても珍しい教会でした。
教会の前の道をそのまま進むと、すぐに海に当ります。
江戸時代にここで生きた方々も、恐らくこれと同じ風景を見ていたのでしょう。
どんなことを考えて、この海を眺めていたのかなぁ。
さて、「崎津資料館みなと屋」に入ってみました。料金は大人100円、高校生以下は無料。なんて良心的な。
なぜこの資料館がこのような名前なのとかというと、もともと「旅館みなと屋」だった建物を活用しているからだそうです。
そして、係の方が個別対応でとても丁寧に案内をして下さいました。
しかも、子どもへの話かけ方がとても上手な方で、子ども達は興味津々に耳を傾けていたのでした。
外から空が割れたような音が鳴り響いたので、何かと思ったら…氷(ひょう)でした。しかもかなり大粒。日差しが出て来たところだったのに不安定な天気だなぁ。
この後は崎津集落の隠れキリシタンの話の中で有名なアワビの貝殻を拝見させていただきました。「アワビの内側の模様を聖母マリア様に見てて拝むことにより信仰を実践した」という話です。この偶像崇拝のあり方が、『禁教政策下で形成された長崎と天草地方独自の文化・伝統』の一つであり、世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の歴史であります。
残念ながら、アワビ貝の写真はSNS等掲載禁止とのことでしたので画像掲載はありません。
宗教とはなかなか関わる機会のない生活を送っている我が家ですので、ここでの話は子ども達の中にどこまで響いたでしょうか。
しかし、これまでの歴史や今日の世界情勢の中で起きている様々な問題を見ても宗教は切っても切ることができません。宗教から学ぶべきことはたくさんあります。
「キリスト教弾圧」について、教科書で学習した時と、現地に来て実際に話を実際に聞いた時では、違った立場からその史実を受け止めることができたように思えます。ただ単にキーワードを暗記するだけの第三者的な立場ではなく、当時ここで生活をし弾圧を受けていた方々の立場です。貝の模様の中にいる聖母マリア様に助けを求めていた当時の方々の生活はどれほど辛いものだったのだろうか。
同じ過ちが繰り返されようにするためにも、「崎津の潜伏キリシタン」は子ども達に覚えておいて欲しい歴史の一つだと思ったのでした。
道路を挟んで向かい側にある崎津諏訪神社を訪れました。
禁教期の1647年に集落の守り神として創建されたという神社で、崎津の潜伏キリシタンは表向きは仏教徒として寺に所属し、そしてキリスト教の信仰を続けていたそうです。
鳥居の向こう側に見えるのが、解教後に建てられた崎津教会です。
神社と教会のこの組み合わせが、まさに隠れキリシタンの歴史を物語っているのですね。
RVパークに戻りトレーラーを連結。
次の目的地に向け、出発です。
道の駅・天草市イルカセンター 〜 VRでイルカウォッチング 〜
やって来たのは「道の駅・天草イルカセンター」です。その名を聞いただけで、興味をそそられてしまいますね。
崎津では心が痛む話を聞いてきたので、ここでは心が明るくなる話です。
イルカと一緒に(!?)「ハイ、チーズ!」そう、天草諸島はイルカウォッチングが出来るところとしても有名なんです。
残念なことに、この季節は「見られなくはないけど、海が荒れていることが多くて厳しい」という話。実際、この道の駅はイルカウォッチングの出発地にもなっているのですが、今日は強風のためにツアーは中止とのことでした。
けれど、2階はイルカに関する展示場になっているので、こちらをのぞいてみたいと思います。
なんと、ここではバーチャルイルカウォッチングが楽しめるらしいですよ!
ここでも係の方が丁寧に解説をして下さり、天草のイルカについてじっくりと教えていただくことが出来ました。
「なぜ、天草にいるかが生息しているのか」というと、湾になっており外敵が入ってこないことが大きな理由みたいです。なので、天草のイルカは通年を湾内で過ごしているのだとか。そんな話だったので、島原へ渡るフェリーから見えたりしないのかな?と思って聞いてみましたが、「いるかもしれませんが、今日は特に白波が立っているので、いてもわからないと思います。」とのことでした。
有明海に生息していているイルカは推定200頭。これ程の数の野生イルカが生息している地域は世界的にみても珍しいらしいですよ。
さて、子ども達が何をしているのかというと、VRによるバーチャルイルカウォッチングです。無料で体験させてもらえます。
これ、すごい迫力ですね。後ろを振り向くと、ちゃんと後ろの風景が見られることに驚きました。
しかし、あくまでも「体験」だな…という印象は否めません。実際のイルカウォッチングになれば、これに加えて、海の匂い、風の冷たさ、船の揺れがなどが加わり、五感で感じとれるものがもっともっとあり、それが「感動」につながるハズです。そう、私が昔、小笠原でホエールウォッチングをした時は船酔いにやられてクジラどころではなかったことを覚えています。クジラのブローより、人間のブローの方がたくさん見られましたよ(笑)。
なので、このVR体験でこれで「やった気」になってしまうのではなく、この体験ををきっかけに「本物を見てみたい!」ってなればいいな、と思いました。




クイズ形式でイルカのお勉強。
初めて知ったことがたくさんあったハズなのだけど、ここに書けるほど覚えてないな…やっぱりメモをちゃんと残しておかないとダメですね。反省…。
展望台へ。
なんと、雲仙が雪を被っています。案内係の方に伺ってみると、「降ることはあっても、すぐに消えてしまうことがほとんど。今回はかなり積もっているんだと思う。」とのことでした。
関東に住んでいると、「九州に雪」ってイメージはあまりないのですが、標高の高いところ、日本海に近いところではやっぱり降るんですねぇ〜。
さて、イルカセンター1階の物産館にてお買い物。
せっかくなので、ここでも天草らしい海の幸をゲットして今夜のおかずにすることにしました。
さて、この後はこの海の向こうに横たわる、島原半島に渡ります!
いざ、鬼池港フェリー乗り場へ!
今日はすごい風なんだよなぁ…。白波立ちまくり。
フェリーは運行されているのかなぁ?そして、どれくらい揺れるんだろう?湾内だから、大きなうねりはないだろうけど、子ども達は船に弱いので心配です…。
さて、どうなるか?
備忘録
12月28日(土)
本日の走行距離:牽引あり58km+牽引なし64km=122km
この旅での走行距離:牽引あり1418km+124km=1542km
RVパークれいほく富岡海域公園8:05→8:50崎津10:00→10:45RVパークれいほく富岡海域公園11:00→11:25道の駅天草市イルカセンター12:15→12:21鬼池港→(島鉄フェリー)→口之津14:10→15:25RVパーク島原城