ここ最近、トレーラーを牽いている時の異音が気になっていました。路面の凹凸を拾った時にキコキコと音がするんですよねぇ…。
連結器のフリクションパットが擦れているかなぁ、なんて思っていたのですが、私もママも「デリカの右後ろから聞こえる気がする」というのが共通認識でした。なので、「右」というところが引っかかります。フリクションパットが原因だと「真後ろ」になるハズですから、説明がつきません。
そんな中、こんなことになってしまいました…。
キコキコ音の原因は!?
新しいトレーラーでの初出動。トレーラー友達と一緒に、那須塩原に新規オープンした「RVパークニワトコ」へ遊びに行くことになりました。まずは金曜日の夜に神奈川の自宅を出発。この日は茨城の友人宅にてP泊させて頂き、土曜日の昼からタンデム走行で那須塩原を目指す計画です。
そしたら…初日の圏央道外回り「つくばJCT」手前ぐらいでの話です。路面の凹凸を拾った時に「ドスン」とトレーラーがデリカを強く押すような形になりました。そしたら、これまでの「キコキコ」音が「ギコギコ」音になり、真っ平らなところを振動なく走っていてもデリカ右後ろから常にギコギコと音がするようになってしまいました。
これは何かあるな…やっぱり何処かに亀裂が入ってたか?
幸いだったのは、この日の目的地が友人宅であったことです。彼は自動車整備士だし、溶接の技術も持っています。彼ならなんとかしてくれるかもしれない…と、50km/hキープでゆっくりと走り友人宅へと向かったのでした。
さて、翌朝7時に友人と共に作業開始。
ヒッチボールの上から体重をかけてデリカを上下に揺らしてみると、ヒッチメンバーの右側からギコギコと音がしました。よって、トレーラーではなく、デリカに問題があることが確定です。
そして、やっぱり「右」から音がしているので、ヒッチメンバーの取付け部分が怪しいです。
錆はあるものの、見た感じではヒッチメンバーに亀裂等はありません。友人いわく、「車が大破するような事故を起こしても、ヒッチメンバーが曲がってしまうことはなかなかない。」という話でした。ヒッチメンバーはそれくらい頑丈に作られているらしいです。なので、ヒッチメンバーに亀裂が入ることは考えにくいとか。
とりあえず、ボルトを増し締めしてみました。そしたら、ビックリ!3本あるボルトのうち、一番後ろ側のボルトはいくら締めても回ってしまいます。
ここで、友人は頭を悩ませていました。だって、デリカには元からヒッチメンバー取付け用のネジ穴が用意されており、ボルトオンで取付けできるようになっているんです。ボディにネジ山が切ってあるので、ナットで挟む必要もありません。それなのに、ボルトが空回りしてしまうとは、どういうこと?ボルトが空回りするのであればネジ山が潰れている可能性を疑いますが、それならボルトを引っ張ればボルトが抜けるハズです。しかし、道具を使っていくら強い力で引いてもボルトを引き抜くことができません…どうなってるんだ???
ここで、内視鏡検査開始!
黒い棒の先に超小型カメラが取り付けられており、手元の画面にてカメラの画像を確認出来ます。そしたら、友人が大声を上げました!
あー!そういうこと!?
なんと、ヒッチメンバー取付け用の穴はボディにネジ穴が切られているのではなく、ネジ穴の奥にナットが溶接で固定されていたんです。そして、その溶接が剥がれてしまっていたので、ナットが空回りしていたのでした。
さて、これで原因がわかりました。しかしこの先の問題は、このナットを締めることも緩めることも出来まないということです。ナットがある場所は狭すぎて指や道具を入れて、押さえ付けることが出来ません。なので、いくらボルトを回してもナットがクルクルと回ってしまうんです。
という訳で、ボルトを切断してしまうことにしました。
うぉ〜!火花が飛び散ってる〜!
まずはグラインダーでの切断を試みてみましたが、うまくいかなかったみたい…。
次に、プラズマカッターが出てきました。この道具、私は初めて目にしました。ネットで調べてみると…
・プラズマアークと呼ばれる高温のエネルギーで金属を溶かして切断する機械。
・電気が通る素材であれば、厚い素材でも切断できる。
①トーチと呼ばれる棒の先端にある電極と素材の間にプラズマアークを発生させる。
②プラズマアークによって素材が溶かされる。
③高圧のエアーで溶けた部分を吹き飛ばして切断する。
だそうです。「プラズマ」と聞いて、なんか知っているような気もしましたが、空気清浄機とは関係ないみたいです(笑)。
見事にボルトの頭を切り落としてくれました。ネジ穴の奥にボルトの本体が残っているのが見えます。
それにしても…周辺部には傷一つ付いてない。すごい腕前だな、友人。
そして、ボディの穴からマジックハンド(先端に磁石が付いている)を差し込み、
内視鏡でナットを探して、
取り出し成功!
めちゃくちゃ熱い!
ナットは一般的な六角形の形ではなく、四角形のような八角形(!?)をしたものでした。
その四隅が溶接固定されていたみたいです。
さて、どうやって新しいナットを固定するか?
さて、次なる問題は新しいボルト・ナットを留める方法です。この穴から入れたナットをどうやってボルトに通す?
ナットを固定させないと、ボルトを締めることは出来ません。しかし、手が入らないので、ナットを留めておくことができません…。
おぉ!
今度は溶接が始まった!
ボルトをプレートに溶接固定しました。
ナットを置く場所はスペースが狭いので、このプレートが「壁」にぶつかればナットが回らなくなるハズ!という作戦だそうです。
内視鏡で確認をしながらナットを移動させ、
成功です!
ガッチリとボルト・ナットを締め付けることが出来ました!
結果、ヒッチボールに体重をかけてデリカを上下に揺さぶってもギコギコ音はなくなりました!
よかったぁ〜!ありがとうございましたぁ〜♪
そんなこんなで、予定通りお昼には那須塩原に向けて出発することができたのでした。
いやぁ〜、新しいトレーラーでの初出動にて、こんなトラブルに見舞われるとはね…。
問題はヒッチメンバーの耐荷重にあった?
さて、このブログではタイトルを「ヒッチメンバー応急処置」としました。というのは、今更ながら衝撃的なことがわかったんです!
我が家が牽いているトレーラーは現在のHobby490KMFが三代目です。
初代トレーラーはマイクロライト300という車重580kgの小さなトレーラーでした。
なので、デリカに取付けたヒッチメンバーは牽引能力750kgまでのものでした。
しかしながら、二代目トレーラーのADRIA・AVIVA472PKは車重が1040kgありました。
そこで、トレーラー購入店にてヒッチメンバーを交換してもらいました。
その時に取付けたのが、現在のデリカに付いているヒッチメンバーです。
しかし、このヒッチメンバー、今更ながら確認してみると牽引能力は2000LB(約1000kg)という代物でした!
AVIVA472PKの車重は1040kgですが、それは荷物を積載していない空の状態での話。実際にはシャーシの最大積載重量である1300kgまでは荷物を積んでいましたから、このヒッチメンバーはスペック不足だったんです!そんな状態で7年半・5万キロを走った結果…こんなトラブルが発生した訳ですね。
さて、応急処置は出来たものの、このまま乗り続けていいのか不安が出てきてしまいました。
だって、三代目トレーラーHobby490KMFの車重は車検証上で1430kg、最大積載重量は1750kgもありますから…かなりのオーバーになってしまいます。
デリカの総走行距離は現在14万キロ。けれど、あと10万キロは乗りたいところです。
う〜ん…どうしたらいいもんか?
※結果、ヒッチメンバーを再度交換しました。詳しくは後日アップします!